ブラックアウツ/アシュラ
blackouts/Ashra

1.77 slightly delayed
2.midnight on Mars
3.Don't trust the kids
4.blackouts
5.shuttle cock
6.lotus part I-IV

1978年作

 アルバム・ジャケットを見て欲しい。エレクトリック・ギターを弾く手元にゲッチングの目が映っている。そうこのアルバムはギターアルバムなのである。前作の「ニュー・エイジ・オブ・アース」はゲッチング流のシンセサイザー・ミュージックだった。(少しはギターも聴けるけど・・・)で、今回は思う存分ギターを弾きまくっているのだ。しかも、「インヴェンション・フォー・エレクトリック・ギター」のように淡々としたものではなく、チョーキングを思いっきりかけたカルロス・サンタナやセバスチャン・ハーディーのマリオ・ミーロのような伸びやかなギターが聴けるのである。ゲッチングは「自分が最も影響を受けたギタリストはサンタナだ」と語っているように、基本はギターを弾きまくりたい人なのだ。

 とはいってもハードロックな訳ではない。「インヴェンション・フォー・エレクトリック・ギター」「ニュー・エイジ・オブ・アース」で作られたミニマルに繰り返されるフレーズをベースにして、その流れの上に様々なサウンドが重なってゆくのである。伸びやかなギターが縦横無尽に広がる場面もあり、シンセサイザーが重厚なサウンドを作り出す場面もあり、美しく穏やかなメロディーに覆われる場面もあり、いろいろな展開がなされる。全体的なサウンドの印象を言うならば前作の「ニュー・エイジ・オブ・アース」の繊細で淡い感覚がしっかりと強い輪郭を持ち、色彩が濃くなっていると思う。ただ、全体を流れる空気感やスピード感は共通する部分は多い。

 前作で極端にギターを弾く場面がなかったので、今度は思いっきりギターが弾きたくなった。ギタリストはやっぱりギターが弾きたいのである。


評価:B(手応えのある快作品)
( Hideyuki Oba.2004.11.9)
Manuel Gottsching/electric guitar

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