ニュー・エイジ・オブ・アース/アシュラ
new age of earth/Ashra

1.sunrain
2.ocean of tenderness
3.deep distance
4.nightdust

1976年作

 とにかく美しいサウンドである。メロディー、音色、音響などサウンドの全ての要素が美しさのために存在しているかのようだ。「ニュー・エイジ・オブ・アース」はマニュエル・ゲッチングの全作品の中で最も繊細で美しい作品であると私は断言する。

 前作「インベンション・フォー・エレクトリック・ギター」で発明されたゲッチング流ミニマルサウンドが当時の技術の粋を結集してひとつの完成を見たと言えるのはないだろうか。エレクトリック・ギターだけで素朴にシンプルに制作されたサウンドの世界観を発展させ、クラウス・シュルツやタンジェリン・ドリームが使いこなしていた当時のシンセサイザーを思いっきり採り入れ、繊細なディテールを描写しながらも、シンプルで明快な流れるような音楽を生みだした。地球上の空気がそして水が輝きながら空間を流麗に流れている風景画のようなサウンド。特に[sunrain]は太陽の光と共に降り注ぐシャワーのような雨粒がキラキラと輝くようすが目の前に浮かんでくる。ひんやりと冷たく気持ちの良い真夏の太陽の下での天然のシャワー。おもわず外に飛び出し、そのシャワーを浴びたくなるような感覚になる。これもひとつのトリップ的な感覚なのかもしれない。とても穏やかでリラックスした瞑想の中でのトリップである。

 褒めてばかりいると逆に疑われるので、ちょっと気になるところを指摘するとすれば、当時のシンセサイザー音楽ではタンジェリンドリームが一歩先を行く存在であったことは否定できない事実である。この作品の中には同時期のタンジェリンドリームのアルバムに納められているサウンドと似かよったニュアンスが多くある。それをオリジナリティーの欠如と見るか、当時の機材を使うことでどうしても避けられない出来事だと割り切るかはみなさんに判断してもらいたい。ただし、アルバムの完成度は文句なく素晴らしいということは言っておきたい。

評価:超A(滅多に出ない超傑作品)
( Hideyuki Oba.2004.11.9)
Manuel Gottsching/electric guitar

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