振動/アシュ・ラ・テンペル
Schwingungen/Ash Ra Tempel

ライト・アンド・ダークネス
1.ライト:ルック・アット・ユア・サン
2.ダークネス:フラワーズ・マスト・ダイ
振動 Schwingungen
3.探索と愛

1972年作

 ドラムのクラウス・シュルツがソロ活動のため脱退してしまった。その替わりと言ってはなんだが、ボーカル、パーカッション、サックスなど多彩な楽器を加えた新しいメンバーが加入した。このセカンド・アルバムも前作同様サイケデリック&ドラッグ・ミュージックと捉えられるが、サウンド全体の構成が整理され、曲のタイトル:ライト、ダークネスとあるように動と静、明と暗の対比が明確に計算されている。サウンドのニュアンスは完全にピンク・フロイドの初期「神秘」「ウマグマ」あたりの世界観に近い。サウンド・エフェクトの使い方、パーカッションなどでのサウンド空間づくり、曲の構成までもが影響を受けているように感じられる。ドラッグ・ミュージックならではの浮遊するトリップ感覚はかなりいい感じで仕上がっている。大きな音で是非とも聴くべしである。アルバムのライナーノーツによれば、ゲッチングはアシュ・ラ・テンペル結成時にロンドンでピンク・フロイドが処分した機材を購入したとある。つまり、ピンク・フロイドはゲッチングの音楽に多大な影響を与えたことは間違いなさそうである。

 この作品はまだハウス/テクノ界で評価されるマニュエル・ゲッチングのサウンドとはほど遠いかもしれないが、浮遊感、トリップ感という音楽の基本精神はしっかりと存在している。この部分は後にミニマルなサウンドを展開させるゲッチングのサウンドと共通するものである。

評価:C(楽しめる良作品)
( Hideyuki Oba.2003.6.24)
マニュエル・ゲッチング/ギター、オルガン、エレクトロニクス
ハルトムート・エンケ/ベース、ギター、エレクトロニクス
ヴォルフガング・ミューラー/ドラム。ヴィブラフォン
ヨーンL/ボーカル、ジューズ・ハープ、パーカッション
マティアス・ヴェーラー/アルト・サックス
ウリ・ポップ/ボンゴ

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