五蘊/美狂乱

Go-un/美狂乱

1)乱パート 2)旅の果て 3)おもいいれ 4)狂パート2-2 5)21世紀のAFRICA


1995年作

なんとあの美狂乱が12年ぶりに渋谷エッグマンでライブを行なう。1995年、なんとも言えないうれしさと供に懐かしい思い出が蘇る、そんな情報が舞い込んできた。美狂乱、日本のプログレシブ・ロックを語る時、絶対にはずすことは出来ないグループ。1980年キング・レコードのネクサス・レーベル誕生時に生まれた記念すべきファースト・アルバム「美狂乱」は日本のプログレシブ・ロック作品のベスト10に必ず入る傑作。しかし、10年以上も姿をけし、活動を停止していたのだから、われわれフアンでさえその名前を忘れかけていたのは事実だろう。よく戻ってきてくれたものだと思う。1996年6月16日、渋谷エッグマンの前には人があふれかえっていた。こんなにも多くの人が美狂乱のライブを楽しみにしていることに驚き、そしてとてもうれしかった。いい音楽は時代に左右されない、いつ聴いてもいいものなのだ。もちろん、私と向山は仕事を早めにかたずけて会場に足を運んだ。隙間のほとんどないギユウギュウ詰めの会場で体験した新生美狂乱のライブ・サウンドはわれわれのこころをしっかりと確実に捕らえたと思う。向山は少々興奮していた。須磨さんがギターを弾いている。日本のロバート・フリップは椅子に腰掛け、静かに目を閉じて、まるで瞑想している僧侶のようにギターを弾いていた。その会場の誰もがそのギターに引き込まれ、時間の経つのを忘れた。

「五蘊」はこのライブで演奏されたほとんどの曲をスタジオ録音した作品である。メンバー以外にもゲストが多数参加している。トランペット、サックスなどの管楽器とさまざまなパーカッション・サウンド、そしてギタ−&ドラムが絶妙に絡み合っている。特に「狂パート2-2」で聴ける、従来の美狂乱に90年代という時代の感覚を反映させた新鮮な肌触りが気持ちいい。美狂乱が時代に合わせて進化していることを実感できる。くり返される変拍子がトランス感覚を誘発する。美狂乱は生きていた。

須磨邦雄:E-Guitar,Voice,Conducts
三枝寿雅:E-Bass,Synth,Recorder,Voice
鈴木章人:Percussion,Voice
陰島俊二:Drums,Malimba,Recorder,Voice
大塚琴美:Piano,Synth,Recorder,Voice
望月一矢:E-Guitar,A-Guitar
田口正人: Precussion,Timpani
田沢浩司:Voice

プロデュース/たかみひろし、須磨邦雄

評価:A(名盤と呼べる傑作品)
( Hideyuki Oba.2000.3.9)

Go to Homepage
Go to 今月のKEPY
Go to Disk Review page
Go to 美狂乱 page