凶暴な音楽/美狂乱
Kyoubounaonngaku/Bi-Kyo-Ran
1)凶暴な街 2)地に足 3)凶暴な宴 4)凶暴な砦 5)ひぐらし野郎 6)CreepFunk 7)凶暴な悪夢
1997年作
これは私の個人的な思い込みで、美狂乱の須磨さん本人に聞いた訳ではないということを断っておく。
この「凶暴な音楽」という作品を聴いて私が思ったことはこのアルバムは須磨邦雄という個人が私的に抱いている世の中に対する怒りをダイレクトに吐き出した排泄物のようなものではないかということだ。もともと芸術とは作家の心の中にある怒りであったり、狂気であったり、憎しみであったり、あきらめであったり、喜びであったり、悲しみであったり、様々な感情の固まりのようなものを排泄する行為であると言えるわけだが、この美狂乱の「凶暴な音楽」はそれがとても個人的で、とても私的な表現として製作されたように感じたのだ。
凶暴な街の一節”咲いてる花を踏みつけては、先を争う”
地に足の一節”干からびた掟を守る、カビの生えた戦士たち、足かせを外すことなど、今はとうに忘れてる”
凶暴な宴の一節”疲れを知らない、歪んだ目先の快楽、なんて素晴らしい”
私が気になった歌詞の一部を紹介してみたが、世の中に対する鋭い批評のまなざし、皮肉なユーモア、あきらめの気持ちなど、言葉を使ってメッセージしている。インスツルメンタルの曲がひとつもなくすべて歌詞のある歌ものの曲で構成されているというのも美狂乱としてはとても珍しい。ここでの歌はメロディーで歌うのではなく、言葉でしゃべるように、演説するように、口の中からまさに言葉を吐き出している感じなのだ。
あっ、須磨さんが怒っている。今まで我慢していた怒りが爆発した。
私にはそう聴こえたのだ。美狂乱の持つ”狂”の部分が1997年にアルバムとして排泄されたのだ。
個人的にはこの作品としっかり向き合って聴くことはとても疲れる作業であった。エネルギーが凄いのだ。本当に怒ってる人の話を聞くことが大変疲れるのと同じだと思う。でも、須磨さんは、美狂乱はこの時怒るしかなかったのだろうし、その怒りを思いっきり外に吐き出すことでやっと次に進めることになったのではないだろうか。美狂乱が前に進むために必要な儀式でもあったのではないだろうか。
来年2001年3月に発売予定のニューアルバム「美狂乱Anthology vol.1」では美狂乱の”美”の部分が本当に美しい音楽作品として形になる。これは「美狂乱/美狂乱」以前の76〜79年頃盛んにLiveで演奏していた曲を新たにリメイクしたものなのだが、完全な新作アルバムとして捕らえてよいものだと思う。静と動が共存するまさに美狂乱の本領が存分に発揮される作品になるだろう。美狂乱は常に進化し続けている、プログレスし続けているのだ。
須磨邦雄:E-Guitar,Voice,Conducts
三枝寿雅:E-Bass,Synth,Recorder,Voice
清水禎之:Drums,Voice
神谷典行:Keyboard
プロデュース/須磨邦雄
評価:B(手ごたえのある快作品)
( Hideyuki Oba.2000.12.12)
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