ライブストック/ブランドX
Livestock/Brand X

1.Nightmare Patrol
2.-Ish
3.Euthanasia Waltz
4.Isis Mourning (part 1)
5.Isis Mourning (part 2)
6.Malaga Virgen

1977年作

 どんよりと曇ったイギリスの空の隙間から時折太陽が顔を出しては隠れる、そんなバランスのジャズ・ロック・サウンドだ。一回聴いただけでは渋く地味なサウンドに聞こえるけれど、やはり繰り返し聴く中で、ゾクゾクとするスリリングな音楽展開が浮き上がってくる。地味かと思う中に渋く&派手な音が随所で聴ける。地味なのに華やかである、とても通好みの音、これがブランドXなのだと思う。やっぱり、メンバーそれぞれの演奏に耳を傾けてゆくとその個性が実にいいのだ。ジョン・グッドソールのギターの早弾きも良し、パーシー・ジョーンズのベースの切れ、モーリス・パートのパーカッションとロビン・ラムリーのキーボードがサウンドの空間を広げてくれている。このアルバムではフィル・コリンズとケンウッド・デナルドのふたりがドラムを叩いているが、私にはその違いはよく分からないけれど、二人とも良いのである。

 大学時代、ブランドXはフィル・コリンズのバンドであるという認識だけで聴いていたのだが、それは彼の名前があまりにもビックで誰もが知るところだったために、フィル・コリンズという名前だけが一人歩きしたのだろう。ブランドXを一言で説明せよと言われたら、フィル・コリンズが歌を歌わないでドラムを叩いているバンドというのがわかりやすいのだろう。実際、ブランドXはフィル・コリンズが参加しているバンドであるが、フィル・コリンズが主導権を握っている集団ではないのだ。

 アルバムのラストは「モロッカン・ロール」にも収録されている『Malaga Virgen 』で締めくくられているが、私はこっちのライブ・バージョンの方が好きだ。演奏に勢いがあるのだ。グルーヴ感がいいのだ。ブランドXは大きな音で聴きましょう。彼らのグルーヴ感を全身に感じながら聴きましょう。私自身、まだまだ聴き込み方が足りないのだが、ブランドXの実力はこのライブ音源を聴くことで十分に理解できるだろう。

John Goodsall : g
Percy Jones : b
Robin Lumley :key
Morris Pert : per
Phil Collins : ds (2-3-6)
Kenwood Dennard : ds (1-4-5)
                 評価:B+α(手応えのある快作品)
( 大庭英亨 2001.7.2)