マニフェスト・デスティニー/ブランドX |
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1.True to the Clik (Goodsall/Franz Pusch) 2.Stellerator (Jones) 3.Virus (Goodsall/Franz Pusch) 4.XXL (Goodsall) 5.The Worst Man (Jones) 6.Manifest Destiny(Jones/Goodsall/Katz/Wagnon) 7.Five Drops (Wagnon) 8.Drum Ddu (Jones) 9.Operation Hearts and Minds (Goodsall) 10.Mr. Bubble Goes to Hollywood (Katz/Jones) 1997年作 |
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「Xコミュニケイション」の発表で復活を遂げたブランドXであったが、5年もの間、活動を停止させていた。とはいうものの、この間、ジョン・グッドソールはファイアー・マーチャンツでアルバム「Landloads Of Atlantis」を94年に発表、パーシー・ジョーンズはトンネルズで「Tunnels」を93年に発表している。 このアルバムは前作「Xコミュニケイション」で感じられた90年代という時代の音質感をさらに強化しながら、サウンドの密度が濃く、音のひとつぶひとつぶがクリアに表現された世界観を作っているように感じる。曲ごとにスピードのメリハリがあって、それなりに起伏のとんだ流れになっている。アコースティックギターとヴァイブラフォンが美しいバラード曲、仏教のお経を読む僧侶の声?がサンプリングされた曲など面白い試みがなされている。個人的に気がついたのはフランク・カッツのドラミングのいくつかで、ビル・ブラッフォードが意識的にスネアを的確に叩いてゆくニュアンスに近いものを感じた。ビル・ブラッフォードほど甲高い音質ではないが、スネアをひとつづつ叩き抜いてゆく感じが気持ちよかった。新生ブランドXが身につけた90年代的音質感とはひとことで言えばコンピュータの質感である。それはリズムをコントロールするときの、サンプリング音を再生するときの、MIDI楽器(ギターシンセやMIDI vibeなど)から出されるサウンド自体の、コンピュータの存在なくしては作れない音楽の質感のことである。グランジ・ロックのニルヴァーナ、オルタナティブ・ロックのレッド・ホット・チリペッパーズ、スマシュ・パンプキン、そしてインダストリアル・ロックのナイン・インチネイル。世界での大きなロックの流れを作ってきた時代の音を体験・通過することでしかありえない音がやはりあるのだ。コンピュータと人間の神業が同居した音、それが「マニフェスト・デスティニー」である。完成度という言葉を使うなら、このアルバムの完成度は非情に高い。あとはそのサウンドが好きか嫌いかだけである。
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