アンオーソドックス・ビヘイビア/ブランドX |
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1.Nuclear Burn 2.Euthanasia Waltz 3.Born Ugly 4.Smacks of Euphoric Hysteria 5.Unorthadox Behaviour 6.Running of Three 7.Touch Wood 1976年作 |
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実は私はこの2001年になってから初めてこのブランドXのファースト・アルバム「アンオーソドックス・ビヘイビア」を聴いた。正直言って意外だった。私の中ではブランドXはブリティッシュ・ジャズ・ロックの王道グループという認識で、そのサウンドは暗く重く、ブリティッシュ・ロックが持つ陰鬱とした色が全面を支配していると思いこんでいた。そこにいきなり一曲目の「Nuclear Burn」の軽やかでスピード感溢れるフュージョン・サウンドが聞こえてきたのである。 「あれっ、このサウンド、どこかで聴いたことあるなぁ。何だったっけなぁ。」そうこの音はプリズムだ。私が最も愛する日本のフュージョン・バンド、和田アキラ率いるプリズムの疾走感とギター・フレーズの音楽世界ではないか。もちろん、曲の全編がプリズムというのではなく、リード・ギターのソロがぐいぐいとサウンドをひっぱるキャッチーなところが特にそうなのである。こんなところでブランドXとプリズムが交差するとは夢にも思わなかった。結局、この曲だけがプリズムを想起させるサウンドで、その他はプリズムとは全く違う音楽世界を表現していた。でも、このアルバム全体のサウンドはジャズ・ロックというよりはフュージョン、もしくはクロスオーバーと呼びたくなるものであった。ウエザー・リポート、リターン・トゥ・フォーエヴァー、マイルス・デイヴィス・グループなどのアメリカン・フュージョン・シーンへのブリティシュ・ロック・シーンからの回答といわれたこのファースト・アルバムはやはりあの時代のジャズ・フュージョン特有の匂いを持つていた。 そして、ロックという音楽を土台に活躍してきた強者たちの演奏テクニックの高さも十分に凄いものだと言うことを実証したのではないか。たとえば、70年代中頃のリターン・トゥ・フォーエヴァーはチック・コリア、アル・デイメオラ、レニー・ホワイト、スタンリー・クラークというメンバーでとてつもないテクニックに裏付けられた音楽を展開させていた。その奴らにイギリスから一発食らわせることに十分成功したのではないだろうか。さまざまな音楽の方向性がもつれ、絡み合いながら、新しい音楽が誕生していた時代。クロスオーバー、フュージョン、ジャズ・ロック。いや〜、本当に奥が深い。本当に面白い。
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