地上の楽園/久石 譲
Chijyo no rakuen/Joe Hisaishi

1. The dawn
2. She`s dead
3. さくらが咲いたよ
4. Hope
5. Mirage
6. 季節風(Mistral)
7.Granada
8.The Walts(for world`s end)
9.Lost paradise
10.Labyrinth of eden
11.ぴあの

1994年作

 1992年から1994年の3年間、久石譲はロンドンを拠点に活動をしていた。このCDの中で彼は自分自身を変えたかったというようなことを書いている。昨日のままの自分に満足しては駄目だ。もう一人の自分が赤信号を点滅させたと。
 この間、彼は東京とロンドンを十数回往復し、数多くの映画音楽を担当し、人の3倍働いた。本来、新しい自分のための作品、つまり、自分のソロ・アルバムを作るためのロンドンだったのだが、なかなかそのソロ・アルバムが前に進まなかったようである。しかし、様々な経験を重ねながら、ようやく久しぶりのソロ作品「地上の楽園」を完成させたのである。彼はこの作品のテーマを人間にとっての死であると書いている。死とは決して恐れるモノでも暗いモノでもないし、むしろそれを身近に感じることで、死と隣り合わせの生を感じる、生を生きることなのだと。
 
 ビル・ブラッフォードがドラムを叩いている。デヴィッド・クロスがヴァイオリンを弾いている。久石譲はキング・クリムゾンが好きだったのだ。なぜ、私は久石譲の音楽に引き込まれるのか、その理由が何となく解ったような気がした。
 このアルバムは音楽として様々な角度をもっている。メロディアスな女性ボーカルがあり、クールでダンサブルなトリップ・ホップがあり、男性ラップがあり、変拍子のプログレシブ・ロックがありというように、いろんな音楽要素が絡み合いながら全体として久石譲の新しい音楽世界を作っているのである。この作品も実験性に富み、その音楽に対する姿勢はまさにプログレシブである。透明感に溢れ、輪郭がくっきりと明確なサウンドで久石譲が音楽家としてやりたかった世界が鮮やかに聴き取れる。非常に好感が持てる、カッコいい音楽だと思う。

Iain ballamy
Bill bruford
Hugh burns
Dvid cross
浜口元哉
池田光男
Bill Nelson
高水健司
ロンドンセッションオーケストラ
                 評価:A(名盤と呼べる傑作品)
( 大庭英亨 2001.12.11)

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