キッズ・リターン/久石 譲
Kids Return/Joe Hisaishi

1. Meet again
2. Graduation
3. Angel doll
4. Alone
5. As arival
6. Promise...for us
7.Next round
8.Destiny
9.I don`t care
10.High spirits
11.Defeat
12.Break down
13.No way out
14.The day after
15.Kids return

1996年6月作

 映画「キッズ・リターン」はすでにヨーロッパではかなりの知名度になった北野武監督作品として、カンヌ国際映画祭に正式出品された。そして、この作品はヨーロッパ、とくにフランスで高い評価を得ることになった。世界の北野、と呼ばれるようになったのもこの頃からである。それは裏を返せばたけしの映画は日本では興行成績はいまひとつ伸びないことも意味していた。私は海外での評判が高く、日本ではそれほどでもない北野武作品をだいたい見ていたが、キッズ・リターンはずいぶん後になってからようやくテレビで見たことを覚えている。テレビで一度見ただけで、そのすべての内容が鮮明に記憶に残る快作品だった。ラスト・シーンで主人公の二人が交わした言葉は私のこころに突き刺さった。予想以上に凄い作品だったと感じた。

 その作品を支えているのが、もちろん久石譲の音楽である。この作品も彼らしいメロディーがいつものように美しくやさしくおおらかに流れているのであるが、今までと違うなと感じさせたのがスピード感であった。「Meet again」「Kids return」というメイン・メロディーを聴かせる二つの曲の疾走するスピード感は彼の作品の中で最も速い。だからこそ、その他の、ゆるやかなサウンドがまた際立って聞こえて来るのである。より一層、サウンドの切れが増した、そんな印象を持った。エネルギッシュで力強いサウンドと人間の内面に深く踏み込むような冷ややかなサウンドのコントラストが高い骨太の作品である。メジャー感がさらに増しているように思う。この音楽家は明らかに成長し続けている。

久石譲:
プロデュース、作曲、編曲、演奏 
                 評価:A(名盤と呼べる傑作品)
( 大庭英亨 2001.12.11)

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