ソナチネ/久石 譲
Sonatine/Joe Hisaishi

1. Sonatine I~act of violence
2. Light and darkness
3. Play on the sands
4. Rain after that
5. A on the fullmoon of mystery
6. Into a trance
7.sonatine II~in the beginning
8.magic mushroom
9.Eye witness
10.Runaway trip
11.Mobius band
12.Die out of memories
13.See you...
14.sonatine III~be over

1993年作

 奥山和由、1980年代後半から1990年代中頃まで、日本の映画界でかなり大きな存在だった人物である。1994年の「RAMPO」は当時低迷する日本映画界に衝撃をもたらした作品として多くの人が知るところである。映画「ソナチネ」は1993年に奥山氏がエグゼクティブ・プロデューサという立場で北野武監督と一緒に創った作品である。私は映画としてのソナチネについてはあまり覚えていない。最後にたけしが自分の頭のこめかみに拳銃を突きつけて自殺するというショッキングなエンディングは印象的だったが、作品全体としてはあまり響いてこなかった。しかし、そこに流れていた音楽だけは私の耳から離れることはなかったのである。

 全編を貫く、ひとつのメロディーが鳴り続けている。繰り返し、繰り返し、ミニマルにそれは終わることなく響き続けるのである。これはあのマイク・オールドフィールドの「チューブラ・ベルズ」の存在に非常にイメージが近い。映画「エクソシスト」が世界的にヒットしたのはあの音楽があったから。そして、その音楽は映画作品を離れ、純粋な音楽作品として多くの人々に聴かれているのである。表の世界に対する裏の世界、人間の生に対する死、陽の裏側である陰という部分にサウンドのテーマを置き、沖縄音楽のエキゾチックでエスニックな感覚を大胆に取り入れながら、トータルなコンセプト・アルバムとして完成されている。オーソドックスにメロディーを歌い上げるだけでなく、エレクトリック及びサンプリング的なサウンド・コラージュ感覚が時代のサウンドとして成立させているのではないだろうか。久石譲という人はメロディー・メーカーとしての凄さだけでなく、音楽をサウンドとして捕らえ、時代の感覚を鋭敏に取り入れる才能にも非常に長けている。

Joe Hisaishi:piano&all keybords
Chiharu Mikuzuki:bass
Ikuo Takehashi:per
Joe Hisaishi:fairlight

               

                 評価:B(手応えのある快作品)
( 大庭英亨 2001.12.11)

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