NHKスペシャル驚異の小宇宙人体IIサウンドトラック/久石 譲
The universe within II.The human brain&mind/Joe Hisaishi

1. Brain&Mind-未知の秘境へのいざない
2. New Generation-未来人への予感
3. Memoies of-鮮やかな記憶の残照
4. Principle of love-やさしさの芽生え
5. Why do the people-長い旅路の果て
6. Gone to science-時空を越え、情景を求めて
7.Imagination factory-魔術師たちの部屋
8.Mysterious neuron-きらめく神秘の世界
9.Natural selection-消えゆくものたちへの挽歌
10.Eternal harmony-ひらめきの瞬間
11.Emotion-永遠の春

1993年12月作

 宇宙である。ここで聴けるサウンドは非常に緻密に的確に、壮大で限りなく広がる宇宙をリアルに作りだしているように思う。NHKスペシャル驚異の小宇宙「人体」という番組は数回のシリーズがあり、映像は当時日本の最高のコンピュータ・グラフィック技術を駆使して作られ、お金と時間を十分にかけた素晴らしい番組であった。この音楽にもそれが十分に現れているのではないだろうか。サウンドがゴージャスであり、スケール感があり、奥行きがある。例えばヴァンゲリスの「炎のランナー」のサウンド・トラックのようにビッグ・メロディーがあり、外側に大きく広がるようなスペース・サウンドが展開されている。アレンジについても非常に多彩な側面が聴き取れる。ドラマチックなシンフォニック・ロックからダークなニュアンスのトリップ・ホップ的なダンス・ミュージックまで、鋭い時代感覚でひとつひとつのサウンドが作られている。CDには数多くのサウンド・エンジニアの名前がクレジットされていて、そのほとんどが外国人、つまり、これはロンドンで録音、制作されたモノなのである。当時のイギリスのテクノ&クラブ・ミュージックは世界で最も先頭を走っていたわけであるから、この作品の感覚の鋭さはロンドンの最先端のサウンド感覚が十二分に反映された結果なのではないかと思う。ロンドン・テクノのエレクトリックで乾いた感覚に久石譲のウエットなメロディがブレンドされたことで、何とも言えないこころにしみる音楽が生まれている。

 このアルバムは番組の映像から離れて、純粋な音楽作品として十分に成立しているし、サウンド的にはラディカルでプログレシブな非常に実験性に富んだ作品でもあると思う。

Jackie Sheridan:vocal
Clen Clempson:guitar
Joe Hisaishi:compose&
arrangement
              
                 評価:B+α(手応えのある快作品)
( 大庭英亨 2001.12.11)

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