モノリスの謎/カンサス
Monolith/ Kansas

side-A
1. On the Other Side
2. People of the South Wind
3. Angels Have Fallen
4. How My Soul Cries Out for You
side-B
1. A Glimpse of Home
2. Away from You
3. Stay Out of Trouble
4. Reason to Be

1979年作

 この作品をもってカンサスの黄金期という時代はひとまず、幕を下ろすことになる。個人的にはかなり好きなアルバムで、愛聴盤として長い間つき合ってきた作品である。「モノリスの謎」は1979年というギリギリの時点で何とかプログレシブ・ロックの魂を残しているのだ。「永遠の序曲-Liftoverture」以降の作品では、いわゆる従来のアメリカン・ロック的な曲がなくなり、カンサス的プログレ・ハード路線の方向に沿った流れの曲でまとめられるようになった。わかりやすく言えば、どこか田舎臭い(カントリー・ウエスタン的要素)感性がなくなり、良い意味で洗練されたサウンドで統一されてきた。この作品も非常に洗練されたカンサスのハード・プログレ・サウンドが随所で聴くことが出来る。変拍子も活き活きとして、プログレシブ・ロックと呼べる複雑な曲展開もある。

 side-Aの1曲目の「On the Other Side」は「ソング・フォー・アメリカ」に見られるようなドラマティックに歌い上げる伸び伸びしたメロディーがチカラ強く響く好作品である。その他の曲もメロディーがしっかり存在して、カンサスならではの快作品が最後まで続く。ポップでコンパクトな楽曲でアルバムを構成するというのはこの時代のプログレシブ・ロックの必須のスタイルであった。もう、複雑に展開するプログレサウンドが延々と続く大作的な長い楽曲は世の中では通用しなくなっていた。この1970年代後半に活躍したイギリスのプログレの勇であるU.Kもポップというキーワードのもとにコンパクトで切れのあるプログレシブ・ロックを展開させて成功をおさめていた。U.Kとカンサスは音楽の根本の部分では非常に共通するところがあった。プログレシブ・ロックが時代と共に生きてゆくことを考えると、このような短い時間の切れのある変拍子の楽曲に行き着くというのは当然の成り行きだったに違いない。

Kerry Livgren - Guitar, Keyboards
Steve Walsh - Keyboards, Vocals
Phil Ehart - Drums
Dave Hope - Bass
Robbie Steinhardt - Violin, Vocals
Rich Williams - Guitar
評価:B+α(手応えのある快作品)
( 大庭英亨 2002.9.8)

 カンサス単独プロデュースの7作目。2001年宇宙の旅にインスパイアされて作られたコンセプト作品として知られていて、黄金期の作品と比較しても遜色ない作品となっています(巷ではこの辺からカンサスはおかしくなってきたと言われますが全然大丈夫です)。全体的にシンフォニックな曲は少なくハードドライビング&SF的なアメリカン・ハードロックの世界を展開していますが、ハードなギター中心のアレンジに変わったのがその印象を強めています。キーボード、特にハモンドは鳴りをひそめ、かわりにピアノやシンセが効果的に使われています。しかしそこはそれ、ロビー・スタインハートのバイオリンが響けばカンサスになってしまうのです。お薦め曲はサビのコーラスとバイオリンが泣きまくる「オン・ジ・アザー・サイド」、ドラマチックな展開でスティーブが熱唱する「エンジェルズ・ハブ・フォーレン」、スピーディなギターリフとコーラスがインディアンぽくて面白い「ハウ・マイ・ソウル・クライズ・アウト・フォー・ユー」、ハードなギターブギで展開もかっこいい「ア・グランプス・オブ・ホーム」です。
評価:B(手応えのある快作品)
(ダーリンちゃん2002.9.8)

[HOME][MonthlyKEPY][LIVE][DISK][Comments][Backnumber][Kansas]