ソング・フォー・アメリカ/カンサス
Song for america/ Kansas

side-A
1. Down the Road - 3:43
2. Song for America - 10:03
3. Lamplight Symphony - 8:17
side-B
1. Lonely Street - 5:43
2. The Devil Game - 5:04
3. Incomudro - Hymn to the Atman - 12:11

1974年作

 セカンド・アルバム「ソング・フォー・アメリカ」。アメリカ国内である程度、音楽的センスやテクニックのあるバンドととして認知されるようになったと言われている作品である。この当時の世の中での評価がどうだったのか、私の個人的記憶の中ではほとんど覚えてないが、この作品が発売されていた1974年は日本ではまだカンサスというバンドはほとんど知られていなかったと思う。カンサス・サウンドが大々的に日本に広まるのは次の「仮面劇 masque」を経て「永遠の序曲 liftoverture」が発表されてからである。
 
 しかし、カンサスというバンドのサウンドはこの時点で非常に高いレベルで完成されている。この作品では10分近くある長い曲と5分以下の短い曲という2つの方向のサウンドが聴き取れる。コンパクトで短い曲はアメリカならではのロックサウンド、たとえばサザンロックなどウエストコースト・サウンドにある乾いた、リズミカルなストレートなロックという音世界。もう一つはこれこそプログレシブ・ロックと呼ぶにふさわしい変拍子あり、ドラマチックなサウンド展開あり、攻撃的でスピード感あふれる音世界。そこにカンサスならではのメロディー・ラインが響くのである。もちろん、プログレ・ファンはこの10分に及ぶ長い方の曲を指してカンサスはプログレバンドだと言うわけである。

 このアルバム・タイトルにもなっている「Song for America」はアメリカという国を讃えるというアメリカ人でなければ作ることも歌うことも出来ない曲であるが、まさにアメリカ的としか言いようがない変拍子&メロディーで前に向かって進め的なポジティブな気持ちにさせるカンサスの代表曲である。イギリスやヨーロッパからは生まれないアメリカ独自のサウンドである。カンサスの音楽をアメリカの精神の上で語るのは少し抽象的すぎて、イメージがつかみにくいとすれば、カンサスがアメリカ的なプログレシブ・ロックを作っている要素を述べてみよう。第1にウエストコースト・サウンドのイーグルスやドゥービー・ブラザーズなどで聴けるアメリカン・コーラスがある。第2に変拍子。第3にバイオリン、このバイオリンはヨーロッパのクラシックをベースにしたモノと違ってカントリー・ウエスタンの世界観を引き継いだバイオリンである。第4にプログレならではの複雑な曲展開(変拍子が炸裂)でイギリスなどのバンドを模範にしているものの、暗くならず、アメリカの太陽の光がどこかで感じられるのである。

 セカンド・アルバム「ソング・フォー・アメリカ」はカンサス初期の世界観を確立したバランスの取れた、非常に気持ちの良い傑作である。

Kerry Livgren - Guitar, Keyboards
Steve Walsh - Keyboards, Vocals
Phil Ehart - Drums
Dave Hope - Bass
Robbie Steinhardt - Violin, Vocals
Rich Williams - Guitar
評価:B+α(手応えのある快作品)
( 大庭英亨 2002.9.7)

 1975年発表の2作目。この作品からジェフ・グリックスマンがプロデュースをしていますが、アメリカン・プログレ・ハードの元祖的な作品となっています。ツインキーボード&ツインギターによる重厚なアンサンブルが確立され、バイオリンによるシンフォニックでドラマチックな展開はかなり衝撃的で、新しいプログレッシブ・ロックの誕生を感じさせたりします。お薦め曲はライブアルバムにも収録されてますが、「ソング・フォー・アメリカ」と「ランプライト・シンフォニー」です。特に後者は初期カンサスの代表的プログレチューンです。
評価 B(手応えのある快作品)
(ダーリンちゃん 2002.9.8)

[HOME][MonthlyKEPY][LIVE][DISK][Comments][Backnumber][Kansas]