ドガタナ/渡辺香津美

Dogatana/Kazumi Watanabe

side-A1.Nuevo Espresso 2.Loosey Goosey 3.Ti-Fa-Let 4.Island
side-B1.Diana 2.Waterfall~Autumn 3.Please Don't Bundle Me 4.Haru No Tsurara


1981年作

 とにかく美しい作品である。例えば、1曲目の「Nuevo Espresso」ではマイク・マイニエリのバイブラフォンと渡辺香津美のアコースティック・ギターが作り出すサウンドが知性と品性とを感じさせながら、繊細で透明感のある世界を聴かせてくれる。そして2曲目「Loosey Goosey」では石田長生、山岸潤二、渡辺香津美のギター・トリオが臨機応変に掛け合い、会話をしながら躍動感あふれるサウンドを作り出している。B面ラストの「Haru No Tsurara」でドラムとベースが加わるが、ほとんどの曲がギターだけ、およびギターとフルート、ギターとピアノといったシンプルな構成で作られている。それぞれの楽器から発せられる音のひとつひとつがくっきりと明確な輪郭を持って聴く者に届けられる。音に濁りというものが一切ないのだ。だから、音に張りがあり、とても力強く響くのだ。

 当時、「頭狂奸児唐眼」でかなりハードなロック・サウンドを提示してきた渡辺香津美がいきなりこんな静かでクリアで強いアルバムを出してきたことに、多くのファンは驚いた。私もそのひとりであるが、その驚きは様々だったようにも思う。好き嫌い、良い悪い。いろいろだ。渡辺香津美は同じ場所に留まることを嫌う。いつも前に進まなければ気が済まないのだ。というより、前に進むことでしか、生きられないのかもしれない。常に何かを探している。新しい居場所を探している。新しい自分を捜している。私は彼のそういう音楽への姿勢が好きなのだ。マライア・プロジェクトで音楽活動をやりつつ、自分のソロ活動も精力的に行ってゆく。ものすごい量の仕事を全速力でこなしてゆく。「ドガタナ」はまさしく渡辺香津美の全盛期の仕事である。

KAZUMI WATANABE : guitar

guest:
OSAMU ISHIDA : guitar
YAMAGISHI JYUNJI : guitar
LARY COLIREL : guitar
MIKE MAINIERI : vibes
DAVE LEAVEMAN : flute
WARREN BERNHARDT : piano
INO NOBUYOSHI : bass
HIDEO YAMAKI : drums

評価:A(名盤と呼べる傑作品)

( Hideyuki Oba.2001.6.4)

Go to Homepage
Go to 今月のKEPY
Go to Disk Review page
Go to Kazumi Watanabe page