アクアプラネット/センス・オブ・ワンダー |
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1.Aquqplanet 2.7 1/2 3.Vertigo めまい 4.Fascinating Lady 5.U/W Travelers 6.Aquaplanet 7.Elfam part 1 a)Der Erdgeist b)Der Feuergeist c)Der Wassergeist 8.Dune 1988年作 |
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80年代の日本ではプログレと口にするだけで差別されていた。難波弘之はジョークまじりに語っているが、あの時代、特に80年代後半のバブル時代にはアーバンな香り漂うブラック・コンテンポラリーが世の中を席巻し、プログレシブ・ロックはダサく、かっこわるい音楽だった。髪の毛が長い男もかっこ悪かった。そんな浮かれた時代に違和感を感じつつ、プログレシブ・ロックに愛情を注ぐことを忘れなかった難波弘之。前作「シンフォビート」で本気で売れようと考えていた気持ちはこの作品では『そういう欲はなくなった』と語り、いい意味で肩のチカラが抜けた自然体で音楽作りがなされたように感じる。1988年といえば最もプログレシブ・ロックが世の中から見放され、見向きもされなかった時期ではないだろうか。この私でさえ全くプログレシブ・ロックと接することはなくなっていた。本当にプログレシブ・ロックは死んだと思い込んでいた。そして、プログレだけでなく70年代という時代が古くさく、お笑いのネタにしかならない時代になっていた。後にバブルは崩壊し、再び70年代が見直され、プログレシブ・ロックに代表されるダークで心の深層まで入り込んでくるサウンドが復活・再生されるとは誰が予想できただろう。難波弘之がそれを予見していたとは言い難いが、この時期に堂々とプログレシブ・ロックを周りから差別を受けながらも作品として世に送り出したという事実はわれわれプログレ・ファンの大きな勇気になる。 この「アクアプラネット」は前半の6曲目までは前作「シンフォビート」同様の歌もののポップス・サウンドであるが、7曲目で組曲の「Elfam Part 1」では難波弘之式ディープ・プログレシブ・ロックが大爆発している。自分がやりたい音楽はこれなんだよ、と完全に開き直って自由自在にキーボードをあやつり、サウンドを展開させている。難波ならではのメロディーがここに染みてくる。変拍子を恥ずかしがることなく、思い切って叩きあげている姿が気持ちよい。好きなことを誰にも邪魔されることなくできるということは本当に素晴らしいことである。他人に何を言われようとプログレが好きなのだ。 |
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sense of wonder are 難波弘之 :keybords 小室和之 :Bass & vocal 小森啓資 :drums |
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評価: B(手応えのある快作品) ( 大庭英亨 2002.2.10) |
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