SYNPHOBEAT/センス・オブ・ワンダー
SYNPHOBEAT/sense of wonder

1.メビウスナイト
2.都市迷宮
3.Rain
4.碧い星で
5.万華鏡
6.Moon Water
7.Windy Synphony
8.オーニソプター
9.ナットロッカー
10.Less is more

1987年作

 難波弘之と共にボーカルをとるベースの小室和之の声質が財津和夫や小田和正系だったことから「いけるんじゃないか(笑)」と思って、真剣に売れることを考えて作ったと、ライナー・ノーツに書かれているが、この作品はプログレという枠からは随分と離れてしまった難波サウンドになっている。作品のほとんどがボーカルがあり、歌が中心のポップスである。この作品でのポップスは山下達郎のコーディネートの元に作られていた時代のものとは違う作風で、これは難波弘之&センス・オブ・ワンダーの新しい試みのサウンドだったのだろうと思う。イギリスのニューロマンティック的なアレンジあり、イエスのロンリーハート的なニュアンスあり、80年代AORの匂いありで、彼ら自身が愉しんで作っていることはよく分かるような内容である。アルバム名義が難波弘之個人からセンス・オブ・ワンダーになっていることも、その音楽を新しく捉えてゆこうという気持ちの表れなのかも知れない。ただし、この音であの時代の日本で売れることはかなり難しかったろうと思う。歌詞の内容やサウンド・アレンジが微妙に時代のセンスとズレているように思う。8曲目の「オーニソプター」でようやく変拍子が顔をのぞかせるが、時すでに遅しという感じである。ジャケット・デザインが80年代初期のテクノ・ポップ的な感覚が見えるが、この辺のセンスからして時代感覚がつかめていないように思う。やはり、時代の音楽としてプログレシブロックを捉えることは非常に困難な作業なのであろうと思う。その試み、実験精神は評価したい所だがかなりきびしい内容だ。ELPでおなじみのナットロッカーで後半を締めくくることでなんとかプログレ精神の切れ端を示している。
sense of wonder are
難波弘之 :keybords
小室和之 :Bass & vocal
鈴木リカ透 :drums
         
評価:C(楽しめる良作品)
( 大庭英亨 2002.2.10)

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