1.Awakenin`~I don`t go for that 2.Deja vu 3.Shade of the moon light 4.Flowing in the wind 5.The rains 6.in the streamline 7.Kiki(a flying girl) 8.Call out Mr,M.K 9.Mother earth
初期のプリズムはラテンのリズムで情熱的に展開する世界を特徴のひとつにしていた。リターン・トゥ・フォー・エヴァーなどのスパニッシュ・ジャズからの影響なのか、和田アキラの疾走するギター・ソロを中心にスピードのある先鋭的なフュージョンを創造していた。しかし、この第4期になると、もはやラテンという世界観はプリズムの中からほとんど消えてしまっている。コズミックでプログレシブな第2期プリズム後期のサウンドを通過して、彼らは南米からヨーロッパへと旅をしてきたのかもしれない。この作品で聴けるサウンドのひとつは「i.o.u」以降のアラン・ホールズワ−スの仕事にとても近い。ブリティッシュ・ジャズ・ロックを作ってきた重要人物のひとりをアラン・ホールズワ−スと考えるならば、プリズムはまさにジャズ・ロックの本道へと足を踏み入れたことになる。和田アキラはデビュー時からアラン・ホールズワ−スに影響を受けたギターをプレイしていたが、それはロックの分野で活動していた時期(1970年代の活動)のホールズワ−スのギターであった。ここではジャズ領域に入り込んだホールズワ−ス的なプレイを伸び伸びと展開させている。「Deja vu」「Shade of the moon light」などはホールズワ−スのアルバムに収録されていてもわからないくらいだ。また、シンタックスをプレイするホールズワ−ス同様に、和田アキラもギター・シンセを使っている。1980年以降、周りから何を言われようとも、かたくなに自分のスタイルを守り続け、高度なジャズ・ロックを追求し続けているホールズワースの音楽活動の姿勢にプリズムも少なからず影響を受けたのではないだろうか。個人的に、アラン・ホールズワースと和田アキラのギター・サウンドを比較して聴き込むようになったのはこの作品がきっかけである。