1.Tremblin` 2.Won`t You Ride Now?! 3.Touch419 4.Cruiser`s Street 5.Appearance (dedicated to Captain Beyond) 6.Who`s Knockin`(dedicated to King Crimson(73`)) 7.Have You Ever Heard P.Floyd? (dedicated to David Gilmore) 8.Farewell
1985年
1983年に「永久機関」発売した後、和田アキラはソロ活動を積極的に行っていた。とはいうものの、そのソロ活動でのメンバーは青山純や渡辺健というプリズムと関わるメンバーであり、実質はプリズムと呼べるような活動なのだが、名義はしっかりと和田アキラであって、プリズムではなかった。その中で彼なりにその先の自分たちがやろうとする音楽を模索する作業を行っていたのかもしれない。正確にはこのプリズムは和田アキラと渡辺健だけが正式メンバーで他の木村万作、深町純、松浦義和はサポート・メンバーなのだそうだ。ここからのプリズムを第3期プリズムとするならば、彼らは結局、第2期プリズム後期の先鋭的なプログレシブ・サウンドを展開し続けることを止め、元々のプリズムが持っていたフュージョンの世界とロックのダイナミズムを融合させた方向へと音楽をシフトさせた。つまり和田アキラの疾走するギター・ソロを最大限に生かし、しかもロックという音楽が持つフィーリングを大切にした世界である。やはり、プログレシブなサウンドを追求するあまり、和田アキラの出番が少なくなってしまったことが、元来のプリズム・フアンから好意を持たれなかったのかも知れない。その上で、もう一度、プリズムの音楽を見つけようとする試みが行われているようにも感じる。収録されている曲のタイトルに注目。「Appearance」はキャプテン・ビヨンドに、「Who`s Knockin`」はキング・クリムゾンの73`(つまり「太陽と戦慄」を意味している)に、「Have You Ever Heard P.Floyd?」はピンク・フロイドのデイブ・ギルモアに捧げられている。自分たちが大好きで影響を受けた偉大なアーティストに対する気持ちを素直に音楽にして表現すること、それがプリズムの原点ではないか。そんな彼らの思いが伝わってくるようだ。