1.Full moon 2.Sbatotto 3.Beneath the sea 4.Karma 5.Desperation part-1 6.Open mind 7.Desperation part-2 8.Prism
1995年
1994年3月4、5日、神戸のライブハウス「チキンジョージ」で行われたライブの模様を納めたアルバムである。メンバーを見よ。プリズムが最も元気で世の中を引っ張っていた第1期、第2期を支えた6人が久しぶりに集まった。懐かしい同窓会ライブともいえるけれど、ここで聴ける演奏は気楽なパーティー感覚のものではない。おそらく、この日のためにかなりの練習を重ねたであろうと思われる素晴らしい完成度で私たち聴く者を圧倒する。ツイン・ドラム、ツイン・ギターということもあって、サウンドに大きな広がりがある。セカンド・アルバム「セカンド・ソウツ/セカンド・ムーブ」からの”Beneath the sea”はプリズムの曲の中で私が一番好きな曲。セカンド・アルバムでもツイン・ドラム、ツイン・ギターで演奏されているので、スタジオ録音の素晴らしさをライブでも再現してくれたことはファンとしてとてもうれしい。木村万作と村上ポンタ秀一のツイン・ドラムの波動が躍動感を生み出し、テクニックを超えた魂の響きがこころを揺さぶる。和田アキラと森園勝敏のツイン・ギターが激しくぶつかり合いながら、時には戦い、時にはひとつになり、ギターという楽器の素晴らしさを思う存分堪能させてくれる。このダブルでつくられる凄まじい緊張感とスピード感は滅多に体験することはできない演奏ではないかと思う。その勢いで、そのままアルバム「サプライズ」からの”Karma”へと引き継がれて行く。(Karmaもプリズムの曲の中で一番好きな曲なのだ)このKarmaでの演奏も凄い。とにかくメンバー全員が本当の意味でひとつになっている。何か神がかったようなポテンシャルの高さである。特に後半部にかけてボルテージが上がって行くところ、そこで聴ける和田アキラのギター・ソロは凄すぎるのひとこと。ここを聴いていると、どういう訳か自然に涙があふれてくるのだ。なんなのだろう、この現象は。かっこいいとか感動するとかそんな言葉で表現できないものがこの演奏にはある。ヘッド・フォンで大音量で聴くことを是非ともお勧めしたい。プリズムのファンでなくともアーティストからの強烈なメッセージがこころに突き刺さることだろう。とにかく凄いってこのライブは。プリズムがデビューして20年の歳月が過ぎ去ったが、その大きな時間の重みみたいなものまでが表現されているようにも思える。なにか人生のようなものまでがこの演奏の中に詰まっているようだ。一瞬たりとも気を抜くところがなく、全速力で駆け抜けたプリズムのライブ・アルバム。持ってない人は買ったほうがいいと思う。