1曲目-渡辺健/作「SHAKE YOUR HEAD」からラスト曲-和田アキラ/作「BENEATH THE SEA」まで、どの曲も素晴らしく、私を楽しませてくれる。特にside-Aの4曲目-和田アキラ/作「スパニッシュ・ソウル(SPANISH SOUL)」とside-Bラスト曲「ビーナス・ザ・シー(BENEATH THE SEA)」は後のライブ活動で現在に至るまでの20年以上もの間演奏され続けている名曲中の名曲で、特に注目して聴きたい。
「SPANISH SOUL」はリターン・トゥ・フォー・エヴァーで天才ギタリストとしてスターになったアル・ディメオラに影響を受けたといわれる和田アキラが彼独自のスパニッシュ的ギター・サウンドを展開させている。デイメオラのギターと比べながら聴くのもおもしろいと思うが、私はアラン・ホールズワースと聴き比べることもお勧めしたい。世界的に評価されているギタリストと比較すればするほど、和田アキラのカッコ良さ、素晴らしさが見えてくる。デイメオラの鋭い歯切れ良さとホールズワースのやわらな流麗さを兼ね備えた天才ギタリスト、それが和田アキラなのだ。
「BENEATH THE SEA」はpart-I,part-II,part-IIIがあり、13分を超える組曲で、和田アキラの作曲能力の高さが光る素晴らしい作品である。透明感あるアコースティック・ギターの静かなイントロから曲は幕をあける。穏やかで静まりかえった大海が目に浮かぶ。徐々にさざ波が立ち、海に表情が現われてくると、今度はいきなり大空に稲光りが走る。荒れ狂う空と海。大自然の脅威である嵐が吹き荒れる。ゲスト参加の村上ポンタ秀一と鈴木徹のツインドラム、和田アキラと森園勝敏によるギター・バトル。ワイルドでクール、鋭く攻撃的なプリズムのサウンド世界が縦横無尽に繰り広げられる。そして、嵐は去り、静かないつもの海に戻ってゆくのである。