浪漫の騎士/チックコリア&リターン・トゥ・フォーエヴァー |
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1. Medieval Overture 2. Sorceress 3. The Romantic Warrior 4. Majestic Dance 5. The Magician 6. Duel of the Jester and the Tyrant (part 1 and part2) 1976年作 |
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良くできたアルバムである。時代の空気を吸いながらサウンドが洗練されてきた。なめらかに流麗にメロディが響き、切れの良いスピード感がある。アコースティック・サウンドとエレクトリック・サウンドが均等にブレンドされている。ニューヨークや東京など、様々な人々がうごめいている大都市が持つ独特の空気や気分みたいな肌触りがあるようにも思う。例えばニューヨークのブルーノート(私は行ったことがないが・・・)でバーボンを飲みながらジャズを聴くような気分である。ハイセンスでおしゃれな音楽なのだ。チック・コリア、スタンリー・クラーク、レニー・ホワイト、アル・ディメオラ。この4人の個人の知名度も高くなり、リターン・トゥ・フォーエヴァー以外の仕事にも多忙を極めるようになっていた時期である。みんなの息もぴったりで、演奏技術的にも最高に充実している感じがわかる。個人技の聴かせどころを作りながら、作品全体の構成を作っているところも良しである。アルバム・セールス的には大成功だった。このアルバムを高く評価する人がいることも私は知っている。 しかし、何かつまらないのだ。綺麗すぎるのだ。整いすぎているのだ。私はファーストの「Return to forever」での壮大なサウンドの宇宙、4作目「銀河の輝映」でのダイナミックなジャズ・ロックの方がやはり好きである。どこか型破りのパワーがこの作品には足りないような気がする。私は洗練されたフランス料理より時間をかけて一生懸命作った奥さんのカレーの方が好きなのだ。プリミティブで力強いこころのあるものが好きなのだ。
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