銀河の輝映/リターン・トゥ・フォーエヴァー |
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sideA 1.Vulcan Worlds 2.Where Have I Loved You Before 3.The Shadow Of LO 4.Where Have I danced With You Before 5.Beyond The Seventh Galaxy sideB 1.Earth Juice 2.Where Have I Known You Before 3.Song To The Pharoah Kings 1974年作 |
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リターン・トゥ・フォーエヴァーの作品として4作目となるこの「銀河の輝映」に新しくギタリストとして迎えられたのがアル・ディメオラである。前作「第7銀河の賛歌」からリターン・トゥ・フォーエヴァーはエレクトリック・サウンドを大胆に取り入れたコズミック・サウンドへと方向を変えてきた。ジャズの領域からさらに飛躍し、ロックの領域も支配し、新しいサウンドの世界を作るためにはエレクトリック楽器が必要だったのだろう。その中でもエレクトリック・ギターが放出するエネルギーはリターン・トゥ・フォーエヴァーの新しい音楽になくてはならないものだった。もちろん、チック・コリアの演奏もリターン・トゥ・フォーエヴァーのデビューから比べると、はるかにエレピやシンセサイザーなどのキーボード類の音質が電気的なニュアンスになっている。リターン・トゥ・フォーエヴァーは約2年間でもの凄い速さで音楽を変化させ、進化させたといえるだろう。あまりの変化のスピードについていけないファンが大勢いたのではないだろうか。 さて、ギタリストのアル・ディメオラであるが、実質的に彼がメジャー舞台に初めて登場したのがこの作品である。多くのギタリストの中からオーディションを経て、ダントツの力量で選ばれたと言われたギターの実力は十二分に発揮されているようだ。チックコリア、スタンリー・クラーク、レニー・ホワイト、アル・ディメオラの4人の天才ミュージシャンのエネルギーが均衡しながら、絶妙のバランスで成立しているのがこの作品の素晴らしさの一因である。つまり、ここでのディメオラのギターはチック・コリアが目指しているサウンドの中に非常にに上手くなじんで溶け込んでいるのだ。この時、無名だったアル・ディメオラは他のそうそうたるメンバーに全くひけをとらずに仕事を完璧にこなしきったのだ。とにかくこの4人で作られたサウンドのエネルギーの大きさ、切れの良さ、スピード感は聴く者を完全に圧倒する。クロスオーバー、フュージョン、ジャズ・ロックというジャンルのど真ん中にこの作品は存在する。特にプログレシブ・ロックの視点で言えば、B面の最後の14分に及ぶ大作「Song To The Pharoah Kings」に於ける変拍子のジャズ・ロックには完全にうちのめされる。おそらく、リターン・トゥ・フォーエヴァーをプログレシブ・ロックとして聴いている人はほとんどいないだろうが、私はリターン・トゥ・フォーエヴァーこそプログレシブ・ロックの最も大切な前進・進歩する音楽を作り出したスーパー・グループであると考えている。後の渡辺香津美のキリンやカズミ・バンドなど日本のジャズ・フュージョンにも多大な影響を残している。
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