科学の夜/セレナーデ〜新月
Night collector/serenade~shingetsu

1.蘇る記憶
2.回帰パート1
3.回帰パート2
4.殺意への船出パート2
5.終末
6.砂金の渦
7.島へ帰ろう
8.パパと一緒に
9.せめて今宵は
10.竹光る
11.茜さす
12.浪漫風
13.まぼろし

1995年発売

 本当に勉強不足で1994年になって初めて私は知ったのだが、新月というグループはこの日本のプログレシブ・ロック・シーンの中で欠くことが出来ない存在で、当時1970年代後半に日本のプログレ・シーンの頂点を極めたと言って良いくらいのバンドだった。ファースト・アルバム「新月」を聴いた時の驚きは言葉で言い表すことが出来ないものだった。こんな凄いバンドを10数年も知らないで過ごしていたとは・・・。しかも、それがこの日本のバンドだったのだ。新月はいつしか伝説のバンドと呼ばれるようになっていた。

 この作品は新月が結成される前の母体となったバンド、セレナーデのスタジオ・セッション(1〜5)と新月の1979年の渋谷屋根裏でのライブ(6〜8)、芝ABC会館でのライブ(9)、新月のスタジオ・セッション(10〜13)で構成されている。この音源は正式にレコードを発売するためにスタジオで演奏されたものではないし、ライブにしてもライブハウスでの演奏を簡易な機材で記録を目的に収録されたものである。だから、最終的な完成型としてのサウンドの完成度は決して良いとは言えない。しかし、ここで聴けるサウンドは1970年代後半の時代の空気感がみずみずしく表現されているように思う。当時のメンバーたちの音楽に対するまっすぐな熱意が伝わってくる。なにしろ、ここで演奏されている楽曲が素晴らしい。メロディーを始め、彼らの音楽の世界観がしっかりと見えている。彼らが表現したい音楽がそこにある。

 この作品を単独で聴いて、傑作だと言うことは多少無理があるかも知れないが、あの名盤「新月」を聴いて、新月の魅力にとりつかれたファンにとっては名盤と呼べる傑作になるだろうと思う。

セレナーデ・メンバー
北山真:vocal
花本彰:keybords
高津昌行:guitar
小松博吉:drums
鈴木清生:bass
新月・メンバー
北山真:vocal
花本彰:keybords
津田治彦:guitar
高橋直哉:drums
鈴木清生:bass
評価:B(手応えのある快作品)
( 大庭英亨 2002.4.14)

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