ゴールデン・ピクニックス/四人囃子
Golden Picnics/Yoninbayashi

1、フライング :FLYING
2、カーニバルがやってくるぞ(パリ野郎ジャマイカへ飛ぶ):CARNIVAL
3、なすのちゃわんやき:CONTINENTAL LAID-BACK-BREAKERS
4、空と海の間:KOOL SAILER & FOOLS
5、泳ぐなネッシー:BIRD'S & NESSY'S
6、レディー・ヴァイオレッタ:A SONG FOR LADY VIOLETTA

1976年作

 四人囃子の最高傑作と言われるのがこのゴールデン・ピクニックスである。ファースト・アルバムと比べると全体的に軽やかに流れるサウンドが特徴になっている。前作はブリティシュ・ロックのハードなサウンドが随所で聴くことができたが、今作はアメリカ・ウエストコーストにある乾いたサウンドやクロスオーバーもしくはフュージョンと呼べるサウンドが前面に出てきている。純粋なロック色はかなり弱まっている。

 「なすのちゃわんやき」は四人囃子の代表曲とでもいえるくいらい有名な曲である。軽やかで飄々としてどこかユーモラスでスピード感溢れる変拍子はあまりお目にかかれないオリジナリティーがある。リコーダーの高音が可愛らしく不思議な感覚を呼び起こす。まったく既成の音楽の枠に囚われることなく、プログレスする音楽を作り上げている。「泳ぐなネッシー」ではカンタベリー・ロックにあるジャズ・ロックのニュアンスを感じ取ることができる。SEなどをちりばめながらサウンドをコラージュする感覚もあり、非常にプログレシブな実験的な部分がある。サックスの掛け合い、ハーモニーがより一層カンタベリー・ロックを想起させる。不協和音的なコーラスもそれに輪をかける。「レディー・ヴァイオレッタ」は後にプリズムで花開くめろうな森園フュージョン・サウンドである。どこからどう聴いても完全に第一期プリズムのサウンドの一面を示している。

 変拍子主体のプログレシブ・ロックは森園勝敏のやりたい音楽ではなかったのだろう。このめろうなフュージョンサウンドはアルバムの中でも違和感のあるくらい特徴的で浮いてさえいるように感じられる。それを裏付ける事実として、このアルバムをレコーディングしてすぐ、彼はグループを離れることになる。森園はロックよりもジャズ&フュージョンのサウンドに魅せられていたのである。彼はこの後、和田アキラ、渡辺健等と共にプリズムを結成する。森園は四人囃子の中心的存在で、四人囃子の人気を支えていたこともあり、この脱退は四人囃子のバンドとしての存続を危うくしてしまった。商業的にも大きな影響を与えることになった。このアルバム発表後に予定されていたライブ・ツアーはすべてキャンセルされた。

岡井大二:
(ドラムス、パーカッション、シンセサイザー、バック・ボーカル)
佐久間正英:
(ベース、リコーダー、シンセサイザー、パーカッション、バック ・ボーカル)
坂下秀実:
(キーボード、シンセサイザー、パーカッション、バック・ボーカル )
森園勝敏:
(ギター、リード・ボー力ル、シンセサイザー、パーカッション、バック・ボーカル)

ゲスト
ジョン山崎(アコースティック・ピアノ、ハモンド・オルガン)
中村哲(ソプラノサックス、テナーサックス、アルトサックス)
浜口茂外也(フルート)
トシ(パーカッション)

        

評価:B+α(手応えのある快作品)
( 大庭英亨 2002.2.10)

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