ヒストリー/四人囃子
History/Yoninbayashi

1 NOCTO-VISION FOR YOU/NEO-N
2 空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ/シングル
3 レディ・バイオレッタ/ゴールデン・ピクニックス
4 ハレソラ/PRINTED JELLY
5 MONGOLOID-TREK Instrumental /包
6 NEO POLIS/NEO-N
7 ファランドールみたいに/包
8 眠たそうな朝には/包
9 ナスのちゃんわんやき/ゴールデン・ピクニックス
10 一触即発 1973LIVE/’73四人囃子
11 ピンポン玉の嘆き/一触即発

1995年作

 私は四人囃子という日本のプログレシブ・ロックの第一人者の名前は知っていたものの、サウンドを聴くことになったのはずいぶん後のことである。1989年に彼らが一時的に再結成した時、初めて聴いたのだ。まず、このことを前提に話を進めたい。

 四人囃子のプログレシブ・ロックは80年代以降にインディーズ的な動きの中から登場した日本のプログレシブ・ロック(美狂乱、ノヴェラ、アインソフ、ケンソーなど)とは明らかに違っている。やはり四人囃子は日本の音楽の表舞台で活動し、そのサウンドはロックという大きな枠組みの中で手探りで前に進んだ結果の音楽であるということではないだろうか。70年代、ロックの世界はハード・ロックとプログレシブ・ロックという大きな柱が立っていて、そのどちらもが太く巨大な姿で存在した時期があった。まさに現役のプログレシブ・ロックの全盛期に四人囃子は音楽活動を行ってきたのだ。

 いつしか、プログレシブ・ロックはオタク音楽になってしまうのだが、彼らの音楽はオタク音楽になる前のプログレなのである。私は1989年のエムザ有明での四人囃子の再結成ライブを経験はしているが、四人囃子の本当の現役時代に彼らのサウンドを聴いていたわけではない。私の聴いてきた日本のプログレはほとんどがオタク音楽としのプログレである。(オタクが悪いと行っているわけではないので悪しからず)日本のプログレの第一人者として初めて四人囃子を聴いた時は、プログレというニュアンスに少し距離感を感じたことを今でも覚えている。プログレといえば変拍子で攻めまくり、シンフォニカルな空間が展開されるということが頭の中にできてしまっている。四人囃子は変拍子もあるけれど、それ以外のサウンド作りに大きな特徴があり、特にプログレシブ・ロックでピンク・フロイドの影響を反映させるバンドはほとんどいないといわれるが、四人囃子は特にファースト・アルバム「一触即発」はピンク・フロイドの影響が非常にある。80年代以降のプログレの基礎になっているバンドはクリムゾンであると思うが、四人囃子からはクリムゾンの陰はどこにもない。かろうじてイエスの陰がかすかにあるかなぁ、というくらいである。ピンク・フロイド以外ではE.L.Pからはかなりサウンドのアイデアを盗んでいる。この辺は当時の音楽状況がピンク・フロイドとE.L.Pが日本では非常に人気が高かったことの裏返しであるように思う。四人囃子は自然体で世の中の空気を吸い込んでいた。だから、ピンク・フロイドとE.L.Pからのサウンドの影響が色濃く出ていたのだ。

 ここではかなり私の思いこみと独断で話を進めてしまったが、このベスト・アルバム「ヒストリー」は四人囃子の全体像を知るにはもってこいであり、ロック黎明期のプログレとそれ以降のインディーズ・プログレを比較するにはとても良い作品であると思う。2002年になり活発に活動を進めている四人囃子。今年のフジロック・フェスティバルにも参加し、10月25日にも厚生年金会館でライブを行った。今、この四人囃子の活動を通じて、もう一度日本のプログレシブ・ロックについて考えてみるのも良いのではないだろうか。


評価:A(名盤と呼べる傑作品)
( 大庭英亨 2002.11.10)
岡井大二:(ドラムス、パーカッション、シンセサイザー、)
佐久間正英:(ベース、リコーダー、シンセサイザー、パーカッション、)
坂下秀実:(キーボード、シンセサイザー、パーカッション、)
森園勝敏:(ギター、リード・ボー力ル、シンセサイザー、パーカッション、)
中村真一:(ボーカル、ベース)
茂木由多加:(キーボード)
佐藤満:(ボーカル、ギター)
       
 

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